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2021-02-01

第一次世界大戦に至る道

第二次世界大戦はナチスドイツのポーランド侵攻に始まった。ナチス台頭の遠因は第一次世界大戦でのドイツに対する巨額の賠償請求を含む戦後処理にあった。第一次世界大戦のきっかけはオーストリアの皇太子夫妻がセルビア人に狙撃されたことであり、最初はオーストリア、ドイツとセルビア、ロシアの戦争であったが列強が加わり大戦争になった。

この第一次大戦のオーストリアとロシアの衝突の前段階としてクリミア戦争でのオーストリアとロシアの対立があった。

クリミア戦争は1853年、当時衰退化していたオスマントルコからバルカン半島の支配権を奪おうとロシアが仕掛けた戦争であった。そこに英、仏が介入しバルカン地域の覇権を巡る戦争となった。オーストリアは1815年のロシア、プロイセンとの同盟を破棄して英仏側に参戦した。ロシアは敗北し、オーストリアに怨念を抱いた。このことが第一次大戦の伏線としてあった。

クリミア戦争によっていわゆるウィーン体制が崩壊した。ウィーン体制はナポレオン戦争後のウィーン会議で決定した、列強の勢力均衡によるヨーロッパの協調体制であった。ウィーン会議で敗戦国フランスを戦勝国と対等な地位に引き上げたのがフランスのタレーランであった。

タレーランはナポレオン帝政において外相を務めていたが、当時からナポレオンはいずれ大失敗するであろうと予想していてナポレオン失脚後の政治体制について構想を練っていた。

そして「正統主義」を原則として、ブルボン家は正統な王家であり、王権簒奪者である革命派とナポレオンはヨーロッパの平和に対する加害者である。よって被害者であるブルボン家は革命前のフランスの領土と権力を回復する正当な権利を持つ、という理屈を戦勝諸国に呑ませてしまった。

こうして1814年5月ナポレオン戦争終結のためのパリ条約においてフランスは革命前の領土をすべて回復することができたのであった。第一次世界大戦開戦の100年前のことです。

参考文献 伊藤貫『歴史に残る外交三賢人』

写真は通宝寺池(姫路市夢前町)



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