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重森三玲の集大成

 約20年ぶりに松尾大社庭園を訪れ、感じ方も変わったと思いましたので感想を書いてみます。

 重森三玲の庭はかなりの程度共感できるが、しかしちょっとやりすぎでは?とも思っていました。

 まず庭の構成要素が立石と砂利と地模様、苔かサツキだけだったりと、構成が明快すぎて単純に見えてしまう。これに関しては、まず護岸石組みをなくし、代わりにモルタルで地模様を描いたり、護岸をゆるやかな法面にしてそこに張石をするなどし、そのうえで築山や島に石組みをすることにより、石組みに視線を集中させる目的のためであったと考えられます。

 また立石が多すぎると感じた点に関しては、重森としては立石こそが石の特徴・魅力・勢い・表情等を最も訴えやすいと考えたのではないかと思います。そして立石に変化を持たせるため高さ・傾きの角度を変え様々な石の組み方をした。

 とは言えなかなかその良さがわからない石組みが多いのも事実であり、私はこの庭で一番好きな石はどれだろう?と考えたりしました。するとなんでもなく思っていた石が好ましく思えることもあります。

 地模様に関しては、日曜美術館で見た歌川広重の作品(洗馬宿)に雲や岸の表現に重森三玲的なところがあり、景色の理想形を描いている点で共通していると思いました。

 そして今回の松尾大社で一番良かったのは、重森三玲の三尊石組でした。これは大沢の池・名古曾の滝を思わせる重厚な三尊石組でここは共感できたところです。